KORG Collection-TRITONが出ました。ツイッターのDTM界隈はこの話題でもちきりです。
GUIがヤバい!音がヤバい!とにかくヤバいヒャッハーと語彙をなくした大人たちが狂喜乱舞するKORG Collection-TRITON若い人たちからすれば「何を騒いでいるんだか?」と思うかもしれませんが、いいですよ!KORG Collection-TRITONは最近出ているPCM(サンプリングマルチ音源)の中で一番使いやすくクオリティが高いです。
「えー20年も前のシンセがそんなにクオリティ高いの?」と思う人がいるかもしれませんが、この時代のシンセは職人が1音に命削っていた時代です。そしてその音が本家のKORGから出てきたわけですから、本当に素晴らしい音に仕上がっています。
なのでこのソフトシンセを使うことで、ハマれば間違いなくあなた作った曲の印象が3割増し!いや5割増し良くなります。しかし闇雲に使えばよいわけではありません。KORG Collection-TRITONの特徴をしっかりと理解して使うことが大切です。
今日はそのKORG Collection-TRITONの使い方や特徴をまとめたお話をしてみたいと思います。
KORG Collection-TRITONとは
1999年に発売し多くのミュージック・シーンで使われ一時期はJPOPでこの音が聴かない日はないというほど使われ倒したPOPSの定番のシンセサイザーです。
特徴
- 8パート・マルチ・ティンバー、豊富なPCMサンプル、5系統IFX、2系統MFX。
TRITONのHI(Hyper Integrated)シンセシス・システムを完全再現。 - オリジナルTRITONの開発者が監修。
- 4,000以上の即戦力サウンド・プログラム。
- 拡張ライブラリーEXB-PCMシリーズもすべて網羅。
- 楽器別・キャラクター別に素早くサーチできるサウンド・ブラウザー。
- 大事なパラメーターに即アクセスできるEASYモード。
- 即戦力フレーズ満載、307種類のデュアル・アルペジエーター。
当時のPCM音源の多くは44.1kHzでしたがTRITONは48kHzサンプリングによるハイクオリティなPCMサンプルというのも売りの一つ、実際他のハードシンセと鳴らすと高域の抜けが頭一つ抜き出ているシンセサウンドでした。
システム要求
for Mac 動作環境
OSMac OS X 10.12 Sierra 以降(最新アップデート)CPUIntel Core i5 以上(Core i7 以上を推奨)メモリ6 GB RAM 以上(8GB RAM 以上を推奨)ストレージ8 GB 以上の空き容量(SSD を推奨)その他インターネット接続プラグインAU、VST、AAX (64bit プラグインのみ対応)動作確認済みDAWソフトウェア*Ableton Live 10 / Logic Pro X / GarageBand 10 / Cubase Pro 10 / Digital Performer 10 / Studio One 4.5 / FL Studio 20 / Reason 11 / ProTools 2019 (※)
※ TRITONはPro Tools未対応
* 2019/12/26 現在
* 最新バージョンをご利用ください。
for Windows 動作環境
OSWindows 10 64bit* 以降(最新アップデート)
* 32bit 環境はサポートしていません。CPUIntel Core i5 以上(Core i7 以上を推奨)メモリ6 GB RAM 以上(8GB RAM 以上を推奨)ストレージ8 GB 以上の空き容量(SSD を推奨)その他インターネット接続プラグインVST、AAX (64bit プラグインのみ対応)動作確認済みDAWソフトウェア*Ableton Live 10 / Cubase Pro 10 / Digital Performer 10 / Studio One 4.5 / FL Studio 20 / Reason 11/ CakeWalk by Bandlab / ProTools 2019 (※)
※ TRITONはPro Tools未対応
音の粒がキレイ!
TRITONは地球が滅びると噂された1999年に発売されました。当時のハードシンセはまだまだメモリ容量との戦いの真っ最中今のソフトシンセみたいにループも組まずに5G〜10GBのメモリを無駄遣いできるものではなく、24MBや32MBの中に何百という音色を詰め込んでいる時代です。
なので美味しい音域のところにはものすごく労力がかかっているんですが、オクターブずれたら「何の音だー」という感じになったりもします。でも、それもまた一つの味として楽しめる時代でした。
いまでは48kHzは珍しくもなんともない時代ですが、KORG Collection-TRITONの音色は紛れもなく「クリアで抜ける音色」です。クリアで抜ける音色とはずばり音の密度とアタック音です。大量のギターサウンドの中でも抜け出してくる「ATTACK PIANO」の存在は下手なプラグインで抜けを調整する時間を大幅に削減できます。
JPOPには欠かせない美しいシンセベルも山盛りに入っていますが、「Ensemble Bell」ほどきらびやかで透明性が高いベルはそうそう巡り会えません。生々しいHitの数々は曲のアクセントに最高の彩りを与えます。とくにHit Paradeには様々なオケヒが収録されています。
Drumのトランジェントはどれも立っているのに嫌味な高域がなく曲のビートを明確に刻みます。良い意味で作り込まれた「House Kit」は使いやすく頭の中のイメージを形にしてくれます。
最近のメモリを意識しない音源と比べるとリアルではない部分も多々ありますが、それ以上にハマったときの存在感は最近のソフトシンセとは比べ物にならないほど強烈な個性を出してきます。
しかしこれらをすべてを前面で使うときはいかにアタック音の調整を上手くしてやるかでこの音源のポテンシャルは大きく変わります。しっかりと優先順位をつけて音色を選び使うと良いですよ。
GUIがヤバいうえに使いやすい

ノブの質感がすごいのよ!まるでそこにおるみたいじゃ(by千鳥)
千鳥も驚くGUIの質感です。TRITONの質感をよくぞここまで再現してくれました!!と拍手したくなる質感です。ボディのザラザラ感をしっている人が見たらその手触りを思い出す人もいるでしょう。
KORG Collection-TRITONの凄さ音作りから音の選び方までとにかくストレスフリーな操作性にあります。とくに近年の音色の多いソフトシンセにありがちな音色を選ぶことのストレスを開放するためにKORG Collection-TRITONはカテゴリとキャラクターで音色を選べます。
また適当に選びたい場合も大量の音色選び時に上記ウィンドウの音色ネーム(画像でいうHouse Kit)を選択をすれば下の画面に一覧が出てきます。これをキーボードの矢印キーで変更できますが、ポイントは上下左右すべての矢印キーで動かせるのが魅力です。こうすることでマトリクス的に並んだ音色を素早く選ぶことができます。
そして気に入った音色があれば音色ネームの右隣にある☆マークをクリックすればお気に入り登録できます。
GUIの大きさも変更可能
文字の大きさは創作意欲に大きく関わります。小さい文字を見続けると目が疲れるからです。目の疲れは集中力を奪います。その集中力を維持するためにも、GUIの大きさは自由に調整できる方がいいですが、KORG Collection-TRITONも調節可能です。上ウィンドウのMENUからScreensizeを選び任意の大きさの買えられます。

眼精疲労の予防もそうですが、ラップトップなどの液晶の大きさにも対応できるのでこのGUIの大きさ変更は本当に助かります。こちらの情報はあんどりゅーさんからのアドバイスでした。あんどりゅーさんありがとうございます!
イニシャライズボタンも装備
ソフトシンセに重要なのは音作りをゼロからはじめたい場合すべてをまっさらにしてくれるイニシャライズ機能の有無でしょう。もちろんKORG Collection-TRITONついてました。こちらも先程のGUIのリサイズを出来たMENUの一番上に「initialize」という項目があり、それを押すことで可能になります。VA音源系ではなくPCM音源(サンプリング音源)であっても「音作りはしたいよね!」というメーカーさんの気持ちがしっかり伝わってきて好感がもてます。
やっぱりイニシャライズは重要です!
そしてもう一つこれも有り難いパニックボタンの装備です。音色を作っているとバグか何かで音がとまらなくなることがあります。そういうときはAll sound offで発音を止めることができます。
AMPのリリースが戻らないバグ?

イニシャライズ後の新規パッチでAMPのエンベロープでリリースを最大にすると音が止まらなくなりリリース値を元に戻してもリリースが開放されたままの状態になります。実機の使用がそうであったかうろ覚えなのですが、音作りをするときにちょっとだけ不便を感じます。なので、音を止めるときはAll sound offを多用することになります。
COMBIモードは時間を忘れて遊んでしまう
TRITONは単音の音色を選ぶプログラムモード(PROGモード)とそのプログラムモードを複数掛け合わせて音色を作るコンビネーションモード(COMBIモード)があります。もうコンビネーションモード最高ですよ!
アルペジエーターを使っての自動伴奏みたいなことができるのですが、そのクオリティと使いやすさが「遊びと本気の創作」の架け橋になってくれます。「Indian Ocean」を選べばエスニック感漂う異国情緒な世界へ何時間もトリップできますし、「Drumfest」を使えば映画音楽の緊迫したシーンを簡単に再現できます。
鍵盤が弾ける人であればこれらをスケッチにして作曲するのもありですし、弾けない人もピアノロールで適当に打ち込むだけでも雰囲気を作れます。もちろんアルペジエーターだけではなくレイヤーサウンドとしてのCOMBIモードも素晴らしく分厚いストリングスやパッドを作るものいいですし、PCMでありながらVAに負けない極太なシンセリードも作れます。
ちょっと残念MOSSボード非搭載
実機であるTRITONは物理音源シンセのZ1を追加ボードとして搭載できましたが、KORG Collection-TRITONには残念ながら非搭載でした。Z1のエレピ関係はクオリティが高く未だにファンが多いです。今のCPUであればMOSSを再現するのは簡単ですが、今回非搭載ということは、いずれKORG Collectionに追加されるかもしれません。
初心者にもオススメだけど当時使っていた人ももう一度手にしてほしい
音質的にも使いやすさ的にも言うことなしのKORG Collection-TRITONです。DTMの追加音源としてこれほど強い味方になってくれるのはそうそういないかもしれません。しかし、初心者だけではなく昔触り込んでいた人にも是非触ってほしいと思います。なぜなら、昔必死になって音楽を追いかけ続けたその情熱もこのKORG Collection-TRITONは蘇らせてくれます。
ユーザーバンクに作りため音色は情熱の塊だったと思います。技術も知識も増えて今ではどんな音楽でも作れるようになった今「なんか足りないな」と思うことありませんか?ソフトシンセという便利な環境はある意味どこか枯れてしまっているのかもしれません。その枯れたクリエイティブマインドに潤いを与えてくれるのもKORG Collection-TRITONの仕事です。
値段は高いけど価値はある
KORG Collection-TRITON単品では¥27,390が現在Special Price税別: ¥19,900 税込: ¥21,890となっていますが、音源一つに¥21,890はちょっと敷居が高い金額です。しかし、その価値は十分にあります。おそらくこの音源を買えばしばらく他のPCM系はいりません。
何より、良いものは長く使えます。ワンコインセールになっている音源と比べてもそのクオリティは比較するまでもなくKORG Collection-TRITONの方が上です。まして今から中古で実機を探すとラック版は20,000円以下で買えるかもしれませんが、エキスパンションボードが全部ついている中古は見たことがありません。
実機を所持する理由は物理的なDA/ADの変換による音色の差を楽しむ程度ですが、ソフトシンセで十分ならば実機は必要ないですし、中途半端なサンプリング音源としてTRITONが出たのではなく本家本元のところから出たことでクオリティは隅から隅までお墨付きです。
ローランドも最近XV-5080をローランドクラウドで発表しましたが、あちらはサブスクリプションですし、何より年間2万近くかかることを考えればこちらの方がエキスパンションボードすべてがついて2万円程度ですからお買い得感もあります。
購入の方法
KORG Collection-TRITONはショップ販売がなくKORGのサイトで買うことになります。
オススメはKORGの往年の名機てんこ盛りの
KORG Collection – Special Bundle v2
お値段は定価¥43,890がSpecial Price税別: ¥29,900 税込: ¥32,890ちょっと高いけど買う価値は十分にあります。またこれらは使用時間制限が20分のデモバージョンを試すこともできるので気になる人はデモりましょう。20分がすぎても再びKORG Collection-TRITONを立ち上げ直せばそこからまた20分使うことができます。
まとめ
興奮してすみません。でも興奮しちゃいますw初恋のあの人と久々にあったら全然変わってなかった同窓会!そんな気持ちにさせてくれるのがKORG Collection-TRITONでした。使える音色が多すぎておそらくみんなこぞってつかうことになると思います。気に入った音色を見つけたら速攻つかって作品作ってしまいましょう。
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