ソフトシンセ音作りがもっとよくなる効果的なベロシティ設定方法

「VAソフトシンセの音色をもっとかっこよく聴かせたい」「SuperSaw的な音色をもった効果的に聴かせたい」という悩みを持っている人は多いです。ギラギラしたかっこいい音でも曲の中に入れるとイマイチ垢抜けなかったりすることはあります。

こういうときは音色の時間的な変化に注目することでVAソフトシンセの音に有機的な表情がつけられます。この記事では音色の時間的な変化について動画を使って詳しく書いてます。この記事を理解できれば、味気ないVAソフトシンセの音であっても生楽器のような存在感を出せるようになります。

音の変化とは?

そもそもリアルな音とはどういう音でしょうか?ピアノやギターなど発音してからすぐに減衰が始まる楽器は

  • 強弱によって音色に違いがでる。
  • 発音した瞬間から音が小さくなっていく
  • 小さくなるにつれて音が暗くなっていく

これが一番音色の時間変化としてオーソドックなものです。

管弦楽器の場合は発音の持続時間をある程度奏者でコントロールできますが、それでも持続行為をやめればすべての音の変化は上記のようになります。

つまり、この音色の変化をVAソフトシンセで再現できれば有機的な音色を作れます。

音色変化におけるベロシティの考え方

音を強弱でコントロールするパラメーターのことをベロシティといいます。ピアノで言うところのp(ピアノ)f(フォルテ)と言った強弱のことです。弱く弾くと音が小さくなり、強く弾くと音が大きくなるため、自然な音色をシンセサイザーで作る場合ベロシティで音量のコントロールをするのではなく、強弱における音色の変化を再現することを考えます。

音には3つの要素があります

  • 音量(アンプリファイア、ボリューム)
  • 音程(ピッチ)
  • 音色(フィルター、音の明るさ、暗さ)

生楽器の場合、発音してからこれら3つの要素が複雑に絡み合い音の性質が変化します。しかしもっともわかりやすいのが、ベロシティの違いによっての倍音の出方です。モデリングピアノ音源のPianoteqを使ってベロシティ127(赤)とベロシティ30(緑)のC3の音をアナライザーでどういう変化があるか見てみましょう。

ベロシティ127の方が多くの倍音を発生させています。

ではシンセサイザーの場合はどうなるのかを比較してみます。

ピアノと同じく赤がベロシティ127、青がベロシティ30です。音量差は発生していますが、それをソフトシンセ側で補正してやるとほとんど同じ音になります。つまりベロシティのパラメーターが音量だけになっていると生楽器のような音色変化は得られません。(使うソフトシンセによって若干変わりますが、オシレーターの音量をベロシティでコントロールできるものであれば似たような結果になります。)

リアルな音色の変化をつけるためのベロシティの設定

シンセがシンセらしく聞こえてしまう原因の一つは、この音量と音色の変化が一定であるからです。そこでシンセサウンドをより生楽器らしく聴かせるための方法がベロシティによる音量(アンプリファイア)と音色(フィルターのカットオフ)のコントロールになります。

なぜカットオフなのか?というと、さきほどのピアノのベロシティの違いでわかるようにベロシティが弱いほど、倍音が出ないからです。弱く弾いたときに音の倍音が少ない方がより自然な音色として認識しやすくなります。

ではベロシティで音量と音色の変化を加えるとどうなるかを確認してみましょう。

Thornを使ってSuperSaw的な音で打ち込んでいます。ベロシティをつけてはいますが、Thorn側でベロシティはどのパラメーターにもつながっていないので、設定したエンベロープの音が発音されます。

つぎに、音量のエンベロープと調整し、フィルターのカットオフをエベンロープ(ENV1)を設定しそれをベロシティでコントロールできるようにします。

AMP ENVにあるVELを100にしています。これでベロシティの強弱で音量がコントロールできます。つぎにとなりのENV1のVELを70にしています。これでENV1で設定した時間をかけてフィルターが閉じて音が暗くなる。つまり音色の変化をコントロールしています。

これでさきほど同じデータを再生すると次のようになります。

ベロシティが小さいところは音量が小さいだけではなく、音が暗くなり、ロングトーンでは音が時間と共に変化(暗くなる。)します。最初の音色と比べるとこちらの方が変化の仕方が生楽器に近いです。

もちろんテンポや他の楽器とのバランスは必要ですし、最初の音色の方が曲にハマるケースもあります。大切なのは「自分が求める音色にどのような意図を当てはめるか」ということです。シンセでありながらもダイナミックで自然な音色変化を求めるのであれば、「なぜ、その変化が必要なのか?」という目的まで踏み込んで音色を作るのが1ランク上の音作りといえます。

今回はThornを使っていますが、DAWに付属しているVAソフトシンセでも基本は同じなので、設定を参考に色々と調整してみるとよいでしょう。

生楽器の発音をしることで作るシンセさらしさとは?

音がどのように減衰するかを理解したうえで、本来減衰する音をフィルター等を使って音色を明るくするようにすれば、それは自然的な音の変化ではなくなります。つまり人工的に作られた音の変化ということになります。つまり無機質なオシレーターサウンドにリアルな音色変化をつけることができ、それを再度人工的なプロセスで音の変化を作り出すことができる。これがシンセサイザーの強みです。

このようにシンセを捉えることができれば、音作りに関しても「ただかっこいいと思った」というものではなく意図的な音作りが可能になります。

さいごに

音量の変化と一口にいっても色々とあるのがわかっていただけたのではないでしょうか?生楽器の発音と音色の変化を理解することで、シンセサウンドよりアクティブにクリエイティブに扱うことができるようになります。

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