Lo−fi系の楽曲を作ったけど音が綺麗すぎることで困っていませんか?独特の曇った音がLo-fi系の音の醍醐味であり美味しいい部分です。
それを簡単にかっこよく作ってくれるのがカセットサウンドの再現に特化したプラグインWavesfactory CASSETTEです。スモーキーで野太いカセットサウンドを作りたければこのプラグイン1つで完了します。
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wavesfactory CASSETTEとは
CASSETTEは「自分たちの音のルーツを探す」という目的で作られたプラグインです。ルーツとはずばりカセットの音質です。
自分たちにワクワクとドキドキを与えてくれたカセットの音を再現することで自分たちのクリエイティブマインドを見つめ直そう!というユニークな発想で作られました。
利益だけではなくより良いものをつくることこそ自分たちの使命であるというwavesfactoryの精神は素晴らしいものがあります。
CASSETTEの効果
テープサウンド特有のサチュレーション音の太さを得られる
カセットテープ特有のサチュレーションは音質としては決して優れているわけではありません。良い意味で音は荒々しく存在感があります。使い方としてはミックスにかけてしまえばローファイ感あふれるカセットサウンドを手にすることができます。
テープとデッキの選択で随分音質が変わります。
80年代の洋画テレビドラマのサントラみたいな質感からもこもこした中低域が強調されてしまったサウンドは実に個性的です
決して「指すだけで音がものすごく良くなるチート系プラグイン」ではありません。指すだけで心地よい音の劣化であの頃を懐かしむことができるプラグインです。
CASSETTEの特徴と使い方
前面のパネルにある8つのノブと3つのボタンパネルでざっくりとした質感をコントロールし、背面の細かいパラメーターを調整することでお好みのカセットサウンドになります。

input | 圧縮からサチュレーションまでをコントロール |
erasures | テープの再利用(上書き) 回数最大にすると劣化したテープサウンドが楽しめる |
spread | モノラルとステレオのバランスをコントロール |
stability | テープ速度(ワウフラッター等効果)のコントロール 背面パネルのwowパラメータと連動 左に回すとワウフラッター効果はMAX |
static | フロアノイズのコントロール 右に回すとフロアノイズが増える |
dynamic | アルペリティノイズ※のコントロール 効果としては高周波が増える |
artifacts | テープのシワやよじれを再現 不確定なモジュレーション効果 |
output | アウトプットボリューム |
※アスペリティノイズとは
アルペリティとは「表面のざらつき」的な意味合いで用いられます。ここではテープヘッドのザラつきによって起こるノイズを再現しています。
具体的な効果を確認するためにスペクトラムAnalyzerで計測した結果が次の画像です。
dynamicのノブをマックス(右)にした状態が赤、最小にしたのが緑です。高周波が上がっているのがわかりますが、超低域付近も多少盛り上がります。

ちなみにサイン波形に通すと次のようになります。


左が何も通していない状態で右がdynamicノイズを付加している状態です。
テープデッキ及びヘッドによって異なりますが、特別高周波だけに特化したノイズというわけではないようです。(画像はメタルポジションによるdynamicノイズです)
dynamicもまたインプットと連動し、インプットをあげることでノイズが押さえられていく感じになります。

StaticがテープデッキのS/Nによるノイズ、dynamicはテープヘッドで起こるノイズという解釈ですね!

そんな感じで大丈夫だと思うよ!
背面はワウフラッター、アーティファクトによるノイズのパラメーターの微調整等になります。

compressionについては少し注意が必要です。なぜなら、コンプレッションはHOMEとMicroのみで動きProでは反応しません。
これが仕様なのかどうかはわかりませんし、一種のバグなのかもわかりません
プラグインの負荷
Macmini2018 3.2GHzのCorei7(6コア) 32GBのメモリ でLogic環境の負荷は以下の通りです。

高いわけではないのですが、決して低くもないです。使い方としてサミング的なトラックにまとめて使うのが良いと思います。
カセットテープシミュ比較
カセットテープエミュはいくつかありますが有名ななのは次の3つです。
Denise “Bad Tape”
Klevgränd “DAW Cassette”
Auditory Lab “Cassette FX”
これらの3つと比べてWavesfactoryの魅力は「カセットテープサウンドへの強いこだわり」が感じれます。どこまで汚れた味のある音を再現できるか?というのは面白い試みであり、一種の哲学的な問すら感じられます。

ちょっと変わった使い方
青春時代にカセットともに聞いた音楽をこのプラグインを通して聴くと確実に「あの時代のあの音」です。
またもっとマニアックな使い方をするならばカセットデッキをMicroにしてギターの弾き語りにをしながら犬の鳴き声やおかーちゃんの声を入れたら、確実にカセットデッキの前に座ってギターを録音していたあの時代に戻れますw
またVST/AUプラグインが使えるオーディオプレイヤーAudirvanaを使ってCASSETTEをさせば、お気に入りの曲をカセットサウンドで楽しめます。
またReelsやDECIMORT2などのプラグインを使うことでよりアナログテイスト溢れる音色をつくることができるのでそちらもオススメです。


テープサウンドドラム音源

これはエフェクトプラグインではなく、テープサウンドを再現したドラムサウンドで音の傾向としては50’s〜60’sあたりのサウンドを再現しています。
この音源は単なるテープサウンドの再現に特化したものではなく巻き戻しボタン等の「スイッチ音」や再生時のノイズに早送り巻き戻しの「実機音」がすべて鍵盤にアサインされていますwまた、TUNEとSPEEDといったテープエフェクトの切り替えをMIDIコントロールが可能です。
これと今回紹介するCASSETTEをうまく使えば、究極の「カセットテープサウンド」を再現できると思います。
それを使いこなす必要があるのかはユーザー次第だとは思いますが、確実に「真剣に遊ぶ」のに最適なプラグインですw
テープエフェクトの効果だけが欲しいという人にはCassette Transportがオススメです。
こちらは無料のオーディオプラグインなのでサイトからEメールアドレスを入力するとDLリンクが送られてきます。

3種類のテープデッキと4種類のカセットタイプを選択可
前面のカセットの両隣にある>をクリックすることで4種類のテープサウンドを選ぶことができます。カセットタイプ4種類

- I:1960年代に初めて登場 標準で最も互換性のあるテープ形式 俗に言うノーマルポジション
- II:1970年代にノーマルポジションを進化版 俗に言うハイポジション(サウンドの傾向は高域がよくなった)
- III:70年代半〜80年代前半る 一般的にフェロクロムと呼ばれる
- IV:70年代 金属製の製品が登場しました。今までのテープより低音と高音がよくなる 俗称メタルポジション
多くの人が知っているのはtypeⅠのノーマルポジション typeⅡのハイポジション typeⅣのメタルポジションではないでしょうか?
(私はtypeⅢに関してはあまり記憶がありません)余談ですが、Sonyのスーパーメタルポジションというテープは1本2000円でめちゃめちゃ重たかったです。
3種類のテープデッキ
テープデッキはPro Home Microの3つから選択できます。
Pro | TascamのMTR Portstudio 414 |
Micro | Omega Reporter-20 |

Home特定のデッキを再現したものではないらしくProとMicroの中間的な音とのこと
プラグインフォーマットはAAX / AU / VST / VST3に対応しています。
まとめ
透明感もなく、音の圧縮もひと目でわかるいわば汚し系と呼ばれるプラグインですが、味もあり何よりもインターフェイスのカセットがマニア心をくすぐります。
個人的にはカセットによる8chMTR(マルチトラックレコーダー)を作ってもらいたいところです。
スモーキーで野太いカセットサウンドがほしい人にはオススメです
