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TAL-U-NO-LXレビューJUNOエミュレーションのクオリティをチェック

アナログでもなければ完全なデジタルでもない、ましてやハイブリッドでもないシンセによって作られたサウンドは「チープ」と評されやすい音です。そんなチープなシンセの代表と言われていたローランドのJUNOサウンドの質感は、令和を迎えた今でも人気が高いシンセサウンドです。

チープさが時代を超えて愛され続けるのにはそれだけの理由があります。それは音がとても有機的であるということです。それはFilterの開閉であったりオシレーターの揺れであったりADSRの動きであったりしますが、それらのバランスが上手く保たれているのがJUNOの音です。

JUNOシリーズはJUNO6 JUNO60 JUNO106(S)αJUNO-2そしてデジタルワークステーションとしてデジタルJUNOシリーズがあります。今回のとりあげるTAL-U-NO-LXはJUNO60をエミュレーションしたものです。音の質感や操作性などを考えてもコスパが高いDCOサウンドを堪能できます。

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JUNO6とはJUNO60との違い

JUNO6は1982年にローランドが売り出したDCOベースのアナログシンセです。同時発音数は6当時はPoly6という名前にしようと思っていたところKORGに同名の機種があったこともありJUNO6になったと言われています。

JUNO60はJUNO-6の後継機として、約半年後に発売されました。オシレーターはJUNO6と変わらずDCOのデジタル制御で、同時発音数も変わりません、追加機能はメモリ機能が搭載されたおかげで作った音色を保存できるようになったことオートアルペジエーターの追加です。

JUNO6もJUNO60もDCOのよってチューニングは安定したものの、アナログサウンドの音のチープさに飽きてきたシンセ業界は翌年に発売されたフルデジタルシンセのDX7に音色の流行を見出しそれ以降シンセサイザーはデジタルの波にのまれていくことになります。そんなアナログからデジタルの過渡期に生まれたJUNOは個性が出にくいシンセサイザーとして評価されてしまいますが、海外ではハワード・ジョーンズが好んで使っていたシンセでもあります。

どうして同時発音数が6なの?

JUNO6と60にはMIDIが付いていないため完全な「演奏楽器」です。MIDIがついたのは106からになります。

同時発音数は開発コストの問題があります。そこでどれくらいの発音数であれば演奏者の用途に応えられるかを考えたときに、当時のキーボードの伴奏の形として左手がオクターブ(2音)右手がコード(4和音)これらを足すとちょうど6音になります。この伴奏の形が一番しっくりきていることから同時発音数は6となったと言われています。

TAL-U-NO-LXの特徴

オシレーターPWとコーラスによる音作り

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JUNOと基本使用は同じですが、ソフトウェア化されていることで同時発音数等は倍の12まで拡張することができます。音の特徴はオシレーターにPWをかけたときのほどよい分厚さとコーラスエフェクトスイッチをオンにした広がりがあるパッドが特徴的です。JUNO106のパッドも未だにマルチソフトシンセのパッドカテゴリには必ず入るほどこのコーラスとPWによる音作りはJUNOシリーズサウンドの代名詞です。

またLPFの掛かり方がとても自然なので積極的に動かしたくなります。オートアルペジエーターと合わせて使うことでなんとも懐かしいテクノごっこができます。

とにかくチープと評されたその音が今高音質なチープサウンドとして楽曲の中にDCO独特の雰囲気を与えることで楽曲カラーバリエーションが増やすことは間違いありません。

ほどよく尖っていないエッジサウンドはまさにDCOといえます。決して主役にはならないながらも最強の脇役として主役を食ってしまうこともあるDCOは使い方1つで楽曲に強い個性を出してくれます。

プリセットが豊富

Krezie SoundsのサイトではTAL-U-NO-LXの追加プリセットが無償DLできます。アーティストによって作られたプリセットは音作りの勉強にもなるのでシンセサウンドの理解とスキルアップに繋がります。

kreziesounds.com

コーラスプラグインは無償で手に入る

JUNOコーラスと言われた独特の広がり感があるコーラスですが、こちらは単体プラグインとして無償でDLできます。

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TAL-Chorus-LX

ちなみにこのコーラスあまりにも音が良すぎるのであらゆるメーカーがJUNOコーラス的な音をプリセットに組み込みました。

そしてtc electronicからもペダルエフェクトして売り出されるほどその音の良さはプロ・アマ問わず開発関係者の間でも重宝されるようになっています。

負荷について

同時発音数を12まで上げて10ボイス発音させると若干高くなりますが普段は10%程度なのでそれほど重たいシンセではありません。

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Macmini2018

CPU Corei7 3.2GHz 6コア

メモリ32GB

LogicProX バッファ256

残念なポイント

音が止まらなくなったときに強制停止できるPANICボタンはあるのですが、音をデフォルトの状態にする。イニシャライズプリセットはありません。音を作り込めるJUNOのエミュレーションだけにこの部分のプラスαでほしかったです。といっても複雑な音作りができないのでイニシャライズプリセットがなくてもなんとななるといえばなるのですが…

誰のためのソフトシンセ?

先日のARPもそうですが、誰でもオススメとはいえないVAソフトシンセです。やはりDCOサウンドの質感を好む人が一番はまると思います。パッドからリードまで決して抜ける音というわけではありませんが、強調してくるわけではないけれど、しっかりとした存在感を出してくれるのがDCOです。

しかし最近流行りの80’Sシティ・ポップス系を考えているならばDX7と一緒に使うことで当時のサウンドの再現に一役買ってくれると思います。

  • 当時のJUNOサウンドを高いクオリティでおまけに1万円以下のソフトウェアで動かしたい
  • 80’Sのシティ・ポップをデジタルよりではなくアナログよりで再現したい
  • 負荷の軽いお手頃で音作りを学べるVAソフトシンセを探している

お値段

TAL-Softwareでの販売となっています。

価格は7,230円です。10,000円以下でこのクオリティならは悪くはないと思います。

最新のJUNOについて

本家であるローランドがJUNO2台分を搭載したJU-06Aを発表しました。

こちらはJUNO60とJUNO106を切り替え可能になっています。オシレーターはローランドの最新テクノロジーである。ACB (Analog Circuit Behavior)によってかなり高いレベルでJUNOサウンドを再現しています。どうしても本家の音がほしい、ハードで扱うのが一番!と考えている人はこちらの方がよかもしれません。

まとめ

独特のチープさが受け入れられそこから数十年も多くのミュージシャンに愛されたJUNOサウンド、ローランドって808や909 TB-303を始めあとから評価されるシンセが多いのは、音が有機的なところなのではないでしょうか?無機質なオシレーターは使い手によってどこまで進化してけることを教えてくれるのがJUNOでありそれを高いクオリティで再現しているTAL-Softwareのスタッフもシンセに愛情と感謝が溢れたデベロッパーなのだと思います。

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