ステレオ音源のワイド感を気持ち調整したい。でもそれによってわざとらしいワイド感になるのは嫌だ。
そんな人におすすめなのがステレオイメージャーVSTプラグインのSSL Fusion Stereo Imageです。
SSLの高級ハードウェアに搭載されているステレオイメージャーをプラグイン化したものですが、そのかかり方はナチュラルで、無理がありません。
ステレオをモノラルにしたりモノラルをステレオにしたりするプラグインではありませんが、使い勝手は思っている以上に便利です。
この記事では音質、機能性、操作性、安定性、価格面からSSL Fusion Stereo Imageの魅力を解説していきます。
SSL Fusion Stereo Image 概要
メーカー | SSL |
製品名 | Fusion Stereo Image |
特徴 | サウンド、楽器、ボーカル、 ミックス全体の幅、奥行き、スペースを微調整 |
システム | マック macOS 10.12 Sierra-macOS 11 Big Sur (M1 MacはRosetta互換)(64ビットのみ) 2.4GHz以上で動作するIntelデュアルコアMac 最小4GBのRAM(8 GBのRAMを推奨) AU、VST2、VST3、AAXネイティブ ウィンドウズ Windows 7-Windows 10 (Windows 11は未サポート)(64ビットのみ) 2.4GHz以上で動作するIntelCore2(または同等の)CPU 最小4GBのRAM(8 GBのRAMを推奨) VST 2、VST3、AAXネイティブ |
バージョン | v1.0.21(2022-07-20) |
認証方式 | iLokアカウント認証 |
容量 | 126.9MB |
マニュアル | 英語版のみ |
価格 | $199(メーカー価格) |
備考 | 体験版あり(14日間機能限定なし |
SSL Fusion Stereo Imageは、DAWでステレオフィールドを操作するためのプラグインです。このプラグインは、ステレオイメージを広げたり狭めたり、低周波数を調整したりする機能があります。さらに、ステレオイメージを視覚化するツールや、ミッド/サイドモニタリングも提供しています。多くの有名なプロデューサーとエンジニアからのプリセットが含まれており、VST、VST3、AU、AAX形式に対応しています。
ただ、気をつけておきたいのは、これはモノラルをステレオ化するものではなく、ステレオ素材のステレオ感を調整するものになります。
「それじゃ使い勝手悪そうだね!」と思うのは少し早合点かもしれません。実際使ってみるとSSLの看板を背負っているだけはある非常に自然なステレオ感を調整できます。
SSL Fusionプラグインはこれ以外にも以下の4つがああります。
機能名 | 役割・特徴 |
---|---|
SSL Fusion Transformer | 音源に特定の「色」を付け、厚みや温かみを追加。全体的な音質を豊かにする。 |
SSL Fusion Vintage Drive | 音源に温かみと軽度の歪み(サチュレーション)を提供。アナログ機器の「駆動」特性をデジタルで再現。 |
SSL Fusion Violet EQ | 非常に精密な周波数調整が可能なイコライザー。多くのバンドと幅広いQ設定で、微妙から大胆な調整が可能。 |
SSL Fusion HF Compressor | 音源の高域に対するダイナミクスの制御。高域が耳障りにならず、明瞭性とプレゼンスを高める。 |
SSL LMC+ | SSL 4000E コンソールの Listen Mic Compressor を再現 |
すべてを揃えると、ハードウェアのFUSIONと同等の機能を手に入れたことになります。
上記で4つ書いたのは、機能的には4つなのですが、ハードウェアのFusionでは、HF コンプレッサーセクションの “IN” ボタンを 5秒間押し続けることでLMCコンプモードに変化させられます。”X OVER” は Wet と Dry のミックスコントロールとなります。
このLMCコンププラグインまで揃えると、ソフトウェアFUSIONとして使い切ることができます。
関連動画
Fusion Stereo Image レビュー
音質
4
例えば次のような若干ステレオ感のあるドラムあるとします。
これにFusion-Stereo-Imageを使って広げると次のようになります。
設定は次の通りです。
かなり音像を広げた印象になりますが、思っているよりは自然な広がり方に感じます。あくまで個人的な見解ですが、実機のFusionでステレオFusion-Stereo-Imageを触ったときより自然に大きく広がっているようにも感じます。
では、逆にステレオ感を狭めてみると次のようになります。
詳しい機能については後述しますが、スネアのステレオ感が減衰(モノラルより)になっているのがわかります。
ギターに使ってみると次のようになります。
このギターはかなりワイドになっているのでこれを少し狭めてみます。
設定は次の通りです。
中央の表示もかなりモノラルよりになっています。
完全にはモノラルにはなりませんが、使い勝手は良さそうな気がします。
ただ、音質面ではFusion-Stereo-Image を通すことでハイが少し弱くなる印象があるので素材を選ぶシーンも出てくると思います。
機能性
4
基本的にはWIDTHによってワイド感を調整します、ワイド感の調整幅は±6dBとやや控えめな印象ですが、これくらいの方が調整に無理がない気がします。
SHUFFLEではカットしたい周波数を選び、SPACEでその周波数帯域のゲインを調整しますゲイン幅は±12dB
SSL Fusion Violet EQと同様に、エンジニアによる即戦力のあるプリセットやA/B比較機能は使い勝手良いので重宝します。
操作性
4
操作性で迷うことはおそらくないほどシンプルです。ただ、あくまでこれはモノラルをステレオ化するのではなく、ステレオの音像感を調整するプラグインなので、モノラルファイルに使っても「変化ない!駄目なプラグインだ!」とならないようにしましょう。
安定性
4
Fusion Stereo Imageを1つ使った状態の負荷になります。
まったくと言っていいほどありません。ただあまり使いすぎるステレオ感が統一できなくなりそうな気もします。
CPU負荷計測環境
パソコン Macmini2018
CPU Corei7(i7-8700B)6コア
HT使用時12コア 3.2GHz/ターボブースト(TB)使用時4.6GHz
メモリ 32GB
システム OS12.4 Monterey
Audio/IF APOGEE Symphony Ensemble
バッファー 256
DAW LogicPro10.7.4
48kHz/24bit
再生ストレージ SSD
価格
3
SSL Fusion Violet EQ同様に価格は$199です。正直高いですし、この価格ではおすすめできるものではありません。
気持ち的には$70くらいが妥当なところのように思います。
まとめ
DTMerの使いみちとしてはステレオ感がありすぎるループやギターシンセのオーディオファイルを調整するのに向いているように思います。
若干音の天井が低くなるのが懸念材料ではありますが、その音質面も人の好みによる部分だとは思うので、気にならないのであれば十分戦力になるステレオイメージャープラグインだと思います。
-
5/1日まで89%オフフラッシュセール SSL Native Bus Compressor 2 レビュー 透明感あふれるダイナミクスがかんたんに作れる!
-
5/1日まで89%オフフラッシュセール SSL Native Channel strip 2レビュー プロが求めるサウンドと操作性が簡単に手に入る!
-
SSL LMC+ レビュー 想定外の使われ方で一躍有名になった機材を再現
-
SSL Native Vocalstrip 2 レビュー 驚愕のボーカルサウンドへの道標
-
SSL Fusion Stereo Image レビュー 最高に自然な広がりを与える
-
SSL Fusion Transformer レビュー 類似製品と比較してわかった5つの魅力
-
SSL Fusion HF Compressor レビュー 高域をエレガントに整える
-
SSL Fusion Violet EQレビュー
-
SSL Fusion Vintage Drive レビュー
-
SSL Native Drumstrip レビュー
-
SSL Guitarstrip レビュー 最高品質のギター音作り専用プラグイン!
-
SSL SubGen レビュー 貧弱なローエンドを強化する!マルチバンドハーモニックシンセサイ
-
音楽革新!SSL G3 MultiBusComp レビュー
-
SSL Native X-EQ 2 レビュー セールに飛びつく前に知っておきたい5つの購入ポイント
-
バス(グルー)コンプの正しい使い方講座!これでミックスが3倍よくなる!